千年のお宿とバイオリニスト
おぼろに にじんだ月が
養老の山の端を浮かび上がらせる
美しさに うっとりしながらの
帰宅途中、草むらから
キツネがぴょんぴょん。
すてきな夜です。
バイオリニスト、関口智子さん。
開催されたリサイタルにおじゃました
のがご縁で仲良くなり、
養老へ遊びにお越し下さいました。
東京ー大垣ー新潟の3回シリーズの
公演。22回目を迎える今年の大垣公演は11月11日。
PRのため地元ケーブルテレビ
CCネット養老局へご案内。
無事に収録も終わり、来週から
放送予定です。
その後 お連れしたのは、養老町で
もっとも歴史のある文化財のお宿、
「千歳楼(せんざいろう)」
いまから一三〇〇と一年前(西暦717)奈良時代の女帝・元正天皇がこの地へ
「養老に改元」されました。
それからちょうど一〇〇〇年目のお祝いに建てられた由緒あるお宿。
「千歳」は、そこからきています。
古くから皇族の方々 名だたる芸術家や政治家が滞在し、大広間に掲げられた書は 有栖川宮熾仁親王が宿帳代わりに
お書きになられたもので、屋号のデザインにもなっています。
建物全体が文化財となっており、一歩 足を踏み入れると まるで映画の
世界か、ちがうリズムで進む
異次元な空間にまよいこんでしまった
かのような感覚になります。
やわらかに波打つアンティークガラス越しにゆらめく紅葉の青葉。
ここに立つと 「養老」 という
歴史の深さと 自然が育んだ景色や
ものがたり …またそれらをまもり
ただひたすらにつないで来た先人の
言葉にならない程の愛を肌で感じ、
何度訪れても感動します。
そして 大好きな若女将のふみえさん。
聡明で美しく、やさしくて、
本物の気遣いのできる
心の温かい方です。
こんな宝物がギュッとつまったような
場所や空間もいのちを吹き込み
生かすのは「人」なのだ
…ということを そのお姿から
いつも 学ばせて頂いています。
大事なお客様がいらっしゃった時、
養老の本当の良さにふれて頂きたいと
思った方だけお連れして
ご紹介する場所です。
いつか、関口さんのバイオリンの音が
この空間に満ちる時が来るかも
しれませんね。 …うん、そうなると
いいな。
最後は、実家の喫茶店でモーニング。
わたしのバイオリンをお見せしたら
関口さんが目の前で演奏して下さい
ました。
しかも、わたしが
「いつか弾けるようになりたい」と
なにげなくお話した曲を…
そのさりげないお心遣いと、
信じられないようなのびやかで美しい
音色に また泣きそうになって
しまいました…
普段使っている自分の楽器ですが、
わたしにはこんな音は到底出せません。
それでも、この子(バイオリン)は
ここまでうたえるんだよ〜
まっているんだよ〜(^^)
と言わんばかりに
弾いて見せて下さいました。
幸せなひととき ありがとうございます