変若水で泳ぐ山姥の日記

をちみずでおよぐやまんばのにっき

皇嗣殿下秋篠宮様、ご公務の本当の意味 〜全日本愛瓢会全国展示会・滋賀県彦根市大会〜

2019年6月13〜14日 彦根ビューホテル

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♡年に一度のひょうたんの祭典♡

昨日今日と、全日本愛瓢会の会員として全国展示会に参加するため彦根に行っていました(^^)

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今年も名誉総裁であらせられる秋篠宮様の御成りを賜り、盛大に開催。

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ある報道関係の記者さんから、「秋篠宮様がこの会の名誉総裁でいらっしゃることの意義」についてたずねられました。(取材には簡単にお答えは致しましたが)わたくしが常々、考えていることを長文になりますが書いておきたいと思います。


今回、二年前に開催した地元・岐阜県養老町大会ぶりにランプ作品を出品しました。

 

思い返せば養老町大会では、開催四年前からの招致活動にはじまり、実行委員会の一員としての準備、作品の製作など重なるアレコレを必死にこなしました。大会当日は、会場いっぱいに埋め尽くす素晴らしい瓢箪・瓢箪工芸作品と、来場者の笑顔をまるで夢でも見ているかのように眺め、キツかった日々をいたわって下さった地元の方や、殿下から思いがけずかけて頂いたお優しいお言葉に涙し、一生の思い出となりました。

 

わたしは、初めて出品したランプで初めて金賞を受賞したことじゃなくて、「町のみんなが全国から集まるひょうたんを見て感動してくれた。宮様をお迎えし、みんなで誇りと悦びを共有できた。」それが、何より嬉しかったんです。

 

やり切った感がすぎたあと、しばらくは燃え尽き症候群になって抜け殻化しておりましたが、ようやく創作意欲が復活したところで完成した新作ランプ。

「藍は愛より出て愛より紅し」(フクロウパート2)が、
今年は「金賞・全日本愛瓢会長賞」を受賞致しました(^^)

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二度目の金賞受賞はまったく予想もしておりませんでしたので、本当にビックリしました。余裕のなかった前回と違い、とても素直に喜びをかみしめています。ありがとうございます。

 

さて、展示会二日目の午前は、会員向けの研修会があります。今年は、彦根仏壇・永楽屋さんの工場を見学させて頂きました。

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実は、私の曾祖父・睦田金五郎は仏壇師でした。その昔、彦根藩井伊家の家臣であった先祖のつてで彦根で修行をし、地元・岐阜県養老町にもどって仏壇の仕事を始めると、何人も職人さんを抱え、沢山の仏壇を作りました。睦田金五郎はとても腕が良く、一時期は即身仏でも有名な岐阜県揖斐川町の両界山横蔵寺でお抱え仏壇師としてご奉公していたこともあり、金五郎作の仏壇を家に持つことは地元民にとっては「ステイタス」として自慢話のネタになることでもあったときいています。 仏壇の仕事は息子である祖父が継がなかったこともあり曾祖父の代で辞めましたが、いまでもお弟子さんだった家系の方が何軒か仏壇店をしていらっしゃいます。

 

地元の養老町の瓢箪愛好家のなかには、明治〜昭和初期に生きたわたしの曾祖父をギリギリ知っている世代の大先輩が居て、それゆえ、「やっぱり金五郎さんのひ孫やで、あんたは器用なんやなぁ」と言って、わたしのつくる作品を褒めてかわいがってくれる理由にもなっていました。

 

そんなこともあって、彦根仏壇・永楽屋さんを見学できることは自身の先祖のルーツを辿ることでもあり、心から楽しみにしていました。

 

工場についてさっそく自分の身の上を社長さんにお話しすると、とっても喜んで下さり、時代を超えて…なぜかひょうたんのおかげで…こうしてご縁がつながったことに、胸が熱くなりました。

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永楽屋のスタッフさんの案内でお聞きする歴史や、はじめて見せて頂いた職人の皆様の技は想像以上に素晴らしく、その奥深さ、技術の高さ、向き合い方や心意気にただただ感動致しました。

 

また、社長さんはおっしゃいました。

「愛瓢会のみなさんが彦根で大会をして下さったお陰で、昨日、秋篠宮様がここへお越し下さった。これは、仏壇界にとってはじめての快挙です。時代が変わり、素晴らしい技術があっても、後継者を育てたり、継承したりするのがどんどん厳しくなっていく。そんななか、こうして宮様がお越し下さったことが、職人にとってどれほど励みになったことか。本当に心から、感謝申し上げます」

と。

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そうなんです、これが、大事なんです。

 

わたしが、瓢箪の世界に入ったのもそう。町のシンボルとして掲げている「ひょうたん」なのに、ふたを開けてみれば栽培加工者はすっかり高齢化し、文化として消える寸前でした。

 

これではいけない。

 

そうおもって、まちづくりNPOの仲間や、行政と一緒に町中の学校に苗を配り、栽培指導にゆき、ちびっこの前には大きなひょうたんを頭にかぶって登場し、ひょうたんのお話をし、実がなれば一緒に穴開けや色塗りをしてランプやマラカスをつくり、個人としても古くさいと思われていたひょうたんのイメージを変えるべく、女性や若い人にもウケるようなデザインを考え作品づくりをしきました。

 

そのうえで、秋篠宮様が名誉総裁を務めていらっしゃる全日本愛瓢会の全国展示会を地元に招致する。

 

そうすることで、もう一度、「ひょうたんの聖地・養老」として、地域でひょうたん文化の伝承を我慢強く守って来た皆さんに誇りを取り戻してもらいたい。

長年の経験者には「頑張ってやって来て良かった」と。初めての人には「こんな素敵ならやってみたい」と魅力に気がついてもらうことで、確実に次につながっていく。

 

私たちの想いとロビー活動が功を奏して、2017年・養老改元1300年という記念の年に、「全日本愛瓢会全国展示会・岐阜県養老町大会」の開催が決まった時、そしてそれをお伝えした時、このニュースを喜ばない人は一人も居ませんでした。すくなくとも、私の知る限りでは。

 

「みんなで、全国から来るお客さんをおもてなししよう、秋篠宮様に喜んで頂けるようにがんばろう。」

 

と、ひょうたんと宮様の御成りが、みんなの心を一つにしてくれました。みんなが、同じ夢を見、それが現実となる体験をする事ができたのです。そして、これをきっかけに、消える寸前だった地元でのひょうたん文化は勢いをとりもどし、今では若い世代もそれぞれに楽しみながらひょうたんの栽培・加工を続けています。

 

ひょうたんもそう、お仏壇もそう。時代の流れで、実用品として必須ではなくなってしまいつつあっても、それでも残したい文化や素晴らしい技術・伝統という宝物が日本にはいっぱいあって、その継承の必要性と重要性と、ひいてはそれがどれほど国を豊かにし、人々を幸せにする力があるのかを知らしめつつ、私たちに寄り添いながらはげまし、守って下さっている。

 

そんな事ができる方が、他にいらっしゃるでしょうか。

 

秋篠宮殿下がこれまで様々な団体で名誉職をお受けになり、精力的にご公務をされ続けていることに関して、「単なる自分の趣味だろう、そんなに公務で出かける意味があるのか?」と、皮肉めいたことを言う方も世の中にはおいでのようですが、全日本愛瓢会の展示会に毎年おなりになるときの、殿下のご様子をご存知でしょうか?

 

だれの、どんな作品も、何時間もかけてその「すべて」をひとつひとつご覧になります。感想をおっしゃったり、詳しい製作工程についておたずねになったりと、専門家そのものでいらっしゃいます。そして、その文化・技術をいかにして次世代に受け継ぐかについて愛瓢会の役員の皆さんとしっかりご懇談されます。

 

名前だけの、形式だけの、お飾りの名誉総裁では決してないのです。

 

その栽培の研究に関わる者、工芸で腕を磨こうとするものを励まし、ねぎらい、一緒になって文化継承にお力添え下さっている真の「総裁」です。

 

そして、最後はお見送りのわたしたちにまで時間を使って笑顔で手を振って下さいます。だれもが、その威風堂々たるお姿に、お優しいまなざしに感動し、よろこびで胸をいっぱいにして帰ります。さっきまで全然知らなかったとなりの人と一緒にはしゃぐのです。

 

一生懸命取り組めば、かならず殿下が見て下さる。もっといい作品をつくろう。共に研鑽してまなぼう。来年も必ず元気であいましょうねと初めてあったばかりの人と仲良しになる。つぎもみんなで盛り上げよう。いっしょに喜びながら生きよう。

 

その結果、この国にとって大切な宝ものがつづいてくことを、うれしい、誇らしい、ありがたいと思うことは、日本人としてあたりまえの感情ではないでしょうか。

 

お互いに心を寄せ合い、感謝し、敬意をもち、大切に思い、そうやってなりたっているわたしたちと殿下の関係、つながりがあること、これは、まぎれもない真実です。

 

ほんとうに、幸せです。